ガル離婚相談室生活費と離婚の準備

生活費と離婚の準備

離婚を決意した日から始まる生活への不安。別居になったら生活費はどうしたらいいの?
別居をしなかったとしても、離婚話がでた途端に生活費をいれなくなってしまうって話を聞いたことがありますよね。そんな時には生活費(婚姻費用)の請求をしましょう。

結婚した夫婦が共同生活を送るのに必要な費用離婚を「婚姻費用(婚費)」と言います。
婚姻費用には衣食住費のほか、教育費・娯楽教養費・交際費及び、出産費用、子供の入学金等の臨時的な費用も含む。夫婦は、生活を同じレベルで維持し、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮し、婚姻から生ずる費用を分担する義務があります。
又、別居中であっても、婚姻関係が継続している場合、相手の生活を維持するため金銭の援助を行わなければならないのです。その金額を決める際、別居原因は原則関係なく、お互いの年収額と子供の人数・年齢により決められています。

◆民法第760条により、夫婦は資産・収入などの事情を考慮して、婚姻費用を分担すると規定されている。夫婦間で合意ができない場合は、家庭裁判所に家事調停・審判の申し立てをすることができる。

離婚協議、訴訟が係属している場合であっても、夫婦である以上、現実に婚姻解消に至るまでは婚姻費用分担義務があり扶養権利者から扶養義務者への婚費請求ができます。
また離婚協議や訴訟が長引き、婚姻費用の支払いが滞った場合など、過去分の婚姻費用に関しては、請求の意思表示をした以後の分を請求できるとの認識が常態化している。
そこで、裁判所に申立するのは後にしても、まず、内容証明郵便などで請求の意思表示だけはしておいたほうがよいのです。ただし、過去に遡って婚姻費用を請求できるとの判例もあります。

(婚姻費用の遡及的請求)
東京高等裁判所昭和55年3月7日決定
次に、離婚訴訟が係属している場合であっても、夫婦である以上、現実に婚姻解消に至るまでは婚姻費用分担義務を免れるものではないと解すべきである。

もっとも、離婚請求認容の第一審判決があり、これに対する上訴審においては慰謝料と財産分与の点のみが争われているという場合には、婚姻費用の分担が夫婦共同生活を維持するためのものであることに徴すると、
一定の段階以降は婚姻費用分担義務がないのではないかという点は、確かに検討に値するところではある。

そして、現に、当庁昭和53年(ネ)第375号・第414号事件判決によれば、抗告人・相手方間の離婚等請求控訴事件では、慰謝料と財産分与の点のみが争われていたことを認めることができるけれども、右事件判決においては、 相手方から本件婚姻費用分担の申立てのあることを特に斟酌した上、抗告人の支払うべき財産分与額を金100万円としている。
一方、相手方は、抗告人の負担すべき本件婚姻費用分担額を増大させるため殊更に右訴訟事件を引き延ばしている(ちなみの、右訴訟事件は現に上告審に係属中)とも認めることができない。 したがつて、本件においては、婚姻費用を婚姻解消に至るまで分担させるにつき何らの妨げもなく、抗告人の(2)の主張は、採用し難い。

また、婚姻費用については、審判時から過去にさかのぼって分担を命ずることができる(最高裁料所昭和40年6月30日大法廷判決・民集19巻4号1114ページ)から、抗告人の(3)の主張も、採用することができない。

最高裁判所昭和40年6月30日決定
しかしながら、家事審判法9条1項乙類3号に規定する婚姻費用分担に関する処分は、民法760条を承けて、婚姻から生ずる費用の分担額を具体的に形成決定し、その給付を命ずる裁判であって、家庭裁判所は夫婦の資産、 収入その他一切の事情を考慮して、後見的立場から、合目的の見地に立って、裁量権を行使して、その具体的分担額を決定するもので、その性質は非訟事件の裁判であり、純然たる訴訟事件の裁判ではない。
従って、公開の法廷における対審及び判決によってなされる必要はなく、右家事審判法の規定に従ってした本件審判は何ら右憲法の規定に反するものではない。

しかし、過去の婚姻費用の分担を命じ得ないとする所論は、原決定の単なる法令違反を主張するにすぎないから、特別抗告の適法な理由とならないのみならず、家庭裁判所が婚姻費用の分担額を決定するに当り、 過去に遡って、その額を形成決定することが許されない理由はなく、所論の如く将来に対する婚姻費用の分担のみを命じ得るに過ぎないと解すべき何らの根拠はない。

(有責配偶者の婚姻費用請求)
東京家庭裁判所平成20年7月31日審判
以上によれば,別居の原因は主として申立人である妻の不貞行為にあるというべきところ,申立人は別居を強行し別居生活が継続しているのであって,このような場合にあっては, 申立人は,自身の生活費に当たる分の婚姻費用分担請求は権利の濫用として許されず,ただ同居の未成年の子の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるにとどまるものと解するのが相当である。

別居などの場合の婚姻費用(婚費)の計算方法
1.平成15年4月以降
別居の場合の婚姻費用(婚費)の算定表は、各当事者の個別事情を考慮せず、義務者と権利者の収入および子供の数および年齢だけを考慮します。この計算方法は、義務者に扶養家族がいない場合です。扶養家族がいる場合は、計算方法が異なります。

① まず、権利者(妻)、義務者(夫)の基礎収入を計算します。
基礎収入=税込み給与×0.4
実際は、給与所得者の場合、0.34-0.42をかけます
自営業の場合は、0.47-0.52をかけます
簡単にするために 0.4としてみましょう。
審判例でも 0.4 を使うことが多いです。

② 権利者(妻)世帯の生活費を計算します。
権利者と子供の生活費=(義務者の基礎収入 + 権利者の基礎収入)×

権利者と子供の生活係数
----------------------------------------
権利者と子供およびと義務者の生活係数

③ 婚姻費用分担額を計算します。
婚姻費用分担額=権利者世帯の生活費′利者の基礎収入
ィ 計算例:父親の年収700万円、母親の年収200万円、子供2歳のケース:給与所得の場合
① 基礎収入を計算
夫の基礎収入=700万円×0.4=280万円
妻の基礎収入=200万×0.4=80万円

② 権利者世帯の生活費

                      100 + 55
権利者世帯の生活費=(280万円+80万円) × ---------------
                     100 + 55 + 100                                 ≒219万円

③ 婚姻費用分担額を計算します
139万円=219万円-80万円≒11万5800円(月額)

上記計算式での生活費の計算は、一般には難しいので東京と大阪の裁判所が基準となる算定表を作っています。参考にして下さい。

離婚までの生活費(婚姻費用)算定表はコチラ⇒

生活費と離婚の準備

離婚が成立するその日までに、やらなければいけない事。決めておかないといけない事。沢山ありますよね。自分の理想の離婚を成立させる為には十分過ぎる程の計画と準備が必要になります。あなたは離婚後、どのように生活する予定ですか?

いつまでに何をどうするか?
受験勉強みたいですが、あなたの考える理想の離婚とは…?
離婚の前にどうするか、またどうしたいかを決めておく必要があります

1.財産 結婚期間中に築いた財産(共有財産の確認)不動産、車
2.親権 どちらが親権をとるか、養育費はどうするかなど
3.慰謝料 浮気などをしている場合の慰謝料の請求
4.姓 旧姓に戻すかどうか、戸籍の問題など
5.子供の問題、親権など
6.離婚後の生活費を稼ぐための仕事をどうするか?
7.住む家はどうするか?

あなたの考える離婚の原因が相手にあった場合、理想の離婚条件に近付けて全て有利に進めるには相手の有責度合を証明するのが一番なのです。

今まであったケースを元に離婚の準備を学んでいきましょう。

Case1離婚してからの調停 悠子さん(仮名)の場合(調査はしていません。)

離婚の準備別れてから親権の調停をしました。これはとても面倒なことでした…離婚してから実家に帰っていたのですが大阪から奈良まで行かなくてはならず、体力と時間とお金が要りました。そして調停委員の前で夫とケンカをしてしまいました。結局親権は戻りませんでした…感情的になり離婚届に判を突いてしまったことを今では後悔しています。
残念ながら勢いあまって離婚をした後では話し合いがうまく進展しない要素が強くなってきます。後悔しない為にも事前に基礎知識、どうしたら有利に展開できるかなどを準備しておく必要があります。浮気調査を申し込まれる全ての方が離婚を考えているのではなく、いざ離婚となった場合に有利に展開する為の事前の準備と言えます。
そこまでする必要はあるのかとお考えの方もおられると思いますが実際、相手が浮気をしていた場合、離婚間際になると浮気を止めてしまう。一時会わなくなってしまう可能性も多く、浮気調査を行っても「接触せず」といった結果になりかねません。相手は離婚したあと堂々と浮気相手と付き合うつもりなのです。

過去の異性関係を証明してほしいという相談を受ける事がありますが既に接触を確認出来ない状態では不貞の証拠は得られないのです。もし現在、相手が浮気をしているのであれば浮気調査を行うのは今しかないのです。1ヶ月程度の調査期間で別れてしまった浮気も過去にあり、夫婦間がギクシャクし始め離婚を決意したのは相手の浮気でも、後から「今は配偶者が浮気をしていないけど自分としては離婚をしたい。」と言った内容ではお手伝いが出来ない事があるのです。
「相手は浮気をしている。もしかしたら1年後離婚をするかも知れない。」といった内容であればあなたはかなり準備が整っているといえます。ただ確信なく浮気調査をするかどうかはよく現状をよく見てから決定したらよいと言えます。
また上記のようなケースでは離婚をする前に短期間の別居という形で距離をとってみるのも良いと思います。別居が長期間になると婚姻関係の破綻と取られますのであくまで短期間がポイントといえます。悠子さんのように離婚してからの訴えに関してはかなり不利になってくる可能性があります。

相手側も「もう既に終わったこと。」「一緒に住んでいない方への養育費などの支払いをしたくない。」というのが本音ではないしょうか。「証拠収集は隠密に」「お金の事はきちんと離婚時に」が鉄則と言えます。

もし配偶者に浮気の兆候があるのであれば一度ご相談を!
離婚の前にどうするか、またどうしたいかを決めておく必要があります。

  1. Check1財産 結婚期間中に築いた財産(共有財産の確認)不動産、車
  2. Check2親権 どちらが親権をとるか、養育費はどうするかなど
  3. Check3慰謝料 浮気などをしている場合の慰謝料の請求
  4. Check4姓 旧姓に戻すかどうか、戸籍の問題など
  5. Check5子供の問題、親権など

全て有利に進めるには相手の有責度合を証明するのが一番なのです。